「本当にそういうところが配慮に欠けるんですよっ。お分かりですか皆様っ」
海松がぷりぷりして言うと、襖越しに謝罪の声が聞こえてきた。
「いえ、良いです私もちょっとその、悪かったので」
まとまりのない言葉をゴニョゴニョと返し、露李は羞恥で赤くなった。
なぜ子供の着物を着ていたかは分からないが、相当小さなサイズだった。
それも寝るときに着る浴衣のような薄さで、だからこそ破れてしまったのだが、何だか本当に運が悪い。
「露李様は全く悪くありませんよ!もうっ。本当に昔からああなんですからっ」
「昔からなんだ…」
苦笑してから、改めて海松と守護者たちの間に自分の知らない時間があることに気がつく。
露李と水無月にそういった時間があったのと同じように。
「お二人とも、体調はいかがですか?」
海松は露李を敷かれたままの布団に座らせ、毛布をくるりと巻いてから尋ねた。
「俺は大丈夫だ。何なら前より良い」
「そうですか。露李様は?」
「え、体調?全然大丈夫よ。逆にどうして?」
怪訝そうに答える露李に少し首を傾げてから、海松はにっこり笑った。
「露李様は先程まで小さな子供の姿だったのですよ。時間が巻き戻されてしまって」
「え……ああ、それも朱音様か…そうだ大至急用意しなくちゃいけないの!あの方がいつ来るか分からないから、早くしないと」
「何かあったんですね。…ですが今はそれはできかねます。貴女は一応病み上がりなのですから、身の周りのお世話は私が致します」
「ええ、でも早く……」
「つ・ゆ・り・さ・ま?急いで致しますのでお座り下さい」
笑顔の圧が激しい。
露李は一も二もなく従い、何があったのかを尋ねた。


