わいわい騒いでいる部屋の外で、海松は壁にもたれている水無月と目を合わせた。
「入らないんですか?」
「露李にとって大切な時間だろうからな。もう少ししたら入る。…お前は入らないのか?」
「私は…露李様が笑顔でいてくださるだけで嬉しいので。露李様が笑顔だと、守護者の方々も嬉しそうになさいます」
「お前は、露李の初めての女友達だ。遠慮などする必要はないだろう。あの子も喜ぶ。あの子は、お前が大好きだ」
俺はずっと見てきたからな、と水無月は口許を少しだけ緩める。
「おあいこですわ。水無月様がいらっしゃるとき、露李様は本当に安心なさったお顔です。家族のようなものなのでしょう?」
海松の言葉に水無月がはっと息を飲む。
「もう、入っちゃいましょうか」
「そうだな」
そうして、襖を開ける。


