「殺気仕舞えっての!この辺りの生き物全部殺す気か!」
焦った結が叫ぶ中、力強い腕で抱き締められている露李は自分の胸の鼓動に驚いていた。
甘く痛く、大きく高鳴る心臓。
「おい!早く仕舞えって!何だよ急に、俺も露李も死ぬだろーが!」
“露李も死ぬ”の所を聞いた瞬間に殺気が消えた。
もう良いかと結が露李を抱えてまた飛び降りる。
「ん、大丈夫かー露李?」
高度の変化に慣れている結は、俯いた露李の顔を除きこんだ。
「だっ、大丈夫です!」
慌てて離れた露李の顔が真っ赤で怪訝な顔をする。
「顔、赤くないか?高過ぎたか?」
「いえっ、ちょうど良い高さでございます!」
「は?」
自分でも何を言っているのか分からない、しかしながら何故かこれ以上結の顔を見ていられなかった。
挙動不審にぴょんと離れて、水無月に駆け寄る。
妙に暑いなと思いながら、今度は水無月の顔を見た。
「…氷紀。その顔なに」
目が笑っていない笑顔がこちらを向き、今度は露李が目を見開く。
「何だー露…うお」
追いついた結も顔をひきつらせた。
「卑しい人間が露李に触れやがって…露李の意思だからと思って邪魔しないでいたが、今度こそ滅多切りにしてやろう……」
「……恐ろしいなお前は。そのうち露李が泣くぞ」
「氷紀。とりあえず帰ろっか……」
怒り心頭の水無月を連れ帰る二人だった。


