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「お優しいことだねえ、結くんは」
「はあ?何だよ急に気持ちわりーな。俺は昔から優しいっつーの!喧嘩売ってんのか」
茂みの中で怪しさ満載だが、結は振り返らずに突然現れた文月に言い返した。
望遠鏡は必要ないが、盗聴機が欲しかったと思いながら目の前の男女二人を眺める。
そこそこイケメンな好青年と、艶のある栗色の髪が特徴的な、いわゆる美少女。
端から見ればカップルで、それこそお似合いという言葉が相応しいような。
「気持ちは分かるけどさぁ、こういうの過保護って言わない?」
「うるせーな。あいつはすぐに無茶するから心配でやってらんねーんだよ」
視線は離さずに会話を続ける。
「それに俺がやれって言ったんだよ。これで何かあったらそれこそサイテーだろ」
「はいはい、責任はとるって話ね」
呆れ声の文月に思わず振り返りそうになり、グッとこらえた。
「ちげーよ!」
「そうでしょ。露李ちゃんが自分の意義を見出だせないでいたの、知ってたんだろ」
否定はしない。
「ギクシャクしてたからねあの子達。露李ちゃんなんて責任感が強いから、またあのときみたいに出て行っちゃいそうだし」
あのとき。
文月がいつのことを指しているのか、言われないでも分かった。
結は唇を噛んで黙りこむ。
「突き放すみたいに役割与えて、心配だからついてきた。頑張るね、リーダー」
「誰がリーダーだ」
「いつもフラッグシップはあんたでしょ。まあ、今回は私情も入ってるみたいだけど?」
「は、は!?どういう意味だよ」
「そういう意味。ていうかどうせ俺や結が来ずとも露李ちゃん大好き人間がその辺で張ってるに決まってるのに」
でも、と文月の声が真剣な声色に変わる。
「お前がはっきりしないなら、俺は容赦しないよ」
「何だよ、意味わかんねー」
文月の声色に戸惑う。
いつも茶化すばかりの幼馴染みがこうも真面目なことは、失礼だがほとんどない。
「お優しいことだねえ、結くんは」
「はあ?何だよ急に気持ちわりーな。俺は昔から優しいっつーの!喧嘩売ってんのか」
茂みの中で怪しさ満載だが、結は振り返らずに突然現れた文月に言い返した。
望遠鏡は必要ないが、盗聴機が欲しかったと思いながら目の前の男女二人を眺める。
そこそこイケメンな好青年と、艶のある栗色の髪が特徴的な、いわゆる美少女。
端から見ればカップルで、それこそお似合いという言葉が相応しいような。
「気持ちは分かるけどさぁ、こういうの過保護って言わない?」
「うるせーな。あいつはすぐに無茶するから心配でやってらんねーんだよ」
視線は離さずに会話を続ける。
「それに俺がやれって言ったんだよ。これで何かあったらそれこそサイテーだろ」
「はいはい、責任はとるって話ね」
呆れ声の文月に思わず振り返りそうになり、グッとこらえた。
「ちげーよ!」
「そうでしょ。露李ちゃんが自分の意義を見出だせないでいたの、知ってたんだろ」
否定はしない。
「ギクシャクしてたからねあの子達。露李ちゃんなんて責任感が強いから、またあのときみたいに出て行っちゃいそうだし」
あのとき。
文月がいつのことを指しているのか、言われないでも分かった。
結は唇を噛んで黙りこむ。
「突き放すみたいに役割与えて、心配だからついてきた。頑張るね、リーダー」
「誰がリーダーだ」
「いつもフラッグシップはあんたでしょ。まあ、今回は私情も入ってるみたいだけど?」
「は、は!?どういう意味だよ」
「そういう意味。ていうかどうせ俺や結が来ずとも露李ちゃん大好き人間がその辺で張ってるに決まってるのに」
でも、と文月の声が真剣な声色に変わる。
「お前がはっきりしないなら、俺は容赦しないよ」
「何だよ、意味わかんねー」
文月の声色に戸惑う。
いつも茶化すばかりの幼馴染みがこうも真面目なことは、失礼だがほとんどない。


