【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「皆さんどうでしょう!」


バレンタイン当日の日曜日である。

テーブルに置かれた茶色い物体の山を、守護者たちは唖然として眺めた。

ひしゃげていたり、溶けていたり、何だというのだこれは。


「チョコ……なのかこいつは?」


疑わしそうに結が問うと、露李は大きく頷く。

周囲の気温が三度ほど下がった気がするが、知らないふりをする。


「右からチョコタルト、ブラウニー、生チョコです。味には自信があるので好きなだけ食べてくださいね!」


「露李。本気か」


疾風が生真面目にまた尋ねたところに、鋭い気がビシビシ飛んできた。


「貴様、露李を愚弄する気か。作ってくれた露李に泣いて感謝しろ」


「おい水無月、それはねぇぜ……」


ブラウニーの残骸を一つつまみ上げ、理津が呆然と呟いた。

静と文月の笑顔もさすがに強ばる出来だ。


「何ですか食べないなら良いです!」


もっと怒るかと思ったが、露李はそれだけ言って立ち上がる。


「どこか行くのか」


疾風が不思議そうな面持ちでまた尋ねると、今度は嬉しそうな顔でえっへっへと笑った。

巫女装束や着物でいることが多い露李が、珍しく今時な可愛らしい服を着ている。

メイクも綺麗にしているし、いつもよりも色っぽい。


「委員長と会うんです。接触に成功したので、バレンタインのチョコを渡して来ます」


「え?これ渡すの?」


口が滑った文月に露李の眉がぴくりと動く。

ぴりりと張りつめた空気にさすがの文月も笑顔が蒼白になった。


「何ですか文月先輩」


「いや何もないよ」


「心配して下さらなくても大丈夫です!綺麗なの選んで持って行きますから!!」


ぷりぷりと怒って出ていく彼女に、冷や汗をかく文月だった。