笑って誤魔化し当たり障りのないことを話していると、担任教師が入ってきた。
お帰りなさいなどと言われ、曖昧な笑顔を浮かべて、授業が始まる。
当たり前の日常にひどく焦がれていたはずなのに、いざ戻ってみると変な気持ちだ。
シャープペンシルを握ってノートを取りながら、露李は窓の外に思いを馳せた。
真っ白な雪が山々を覆い、季節外れなかき氷の風合いを出している。
──そうか。この違和感は。
私の中の“日常”が、変わったから。
いつの間にか学校へ行ける平和な日々よりも、平和とは言い難いけれど皆と一緒にいる日々が露李の“日常”と化していた。
だからきっと、何か物足りないという思いに駈られるのだろう。
いつも隣に、皆がいたから。
美しくて、活発で、子供っぽいところもある、強い結。
頭が良くて、優しくて、意外と毒舌な文月。
穏やかで、真面目で可愛いだけじゃない静。
三人は今どうしているだろうか。
依存してるなぁ、と自分に苦笑する。
兄様はどうしてるかな。
水無月は学校に行けないので神社の警護だ。
守護者たちだけの時は結界を張って出てきていたが、休むことはなく常に神社を気にしていた。
現在も勿論油断は大敵だが、水無月ほどの強者がいれば心強いし安心もできる。
海松ちゃんと喧嘩してないと良いけど、とくすりと笑う。
海松は、か弱く大人しく見えても強いのだ。
芯がある、という意味で強い。
水無月すらも圧倒できるだろう気迫もある。
露李にとって初めて出来た友達だ。
嬉しくなってまた笑みを浮かべ、ノートに目を戻した。


