【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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 息を、吸う。そして、吐く。

そう、これが深呼吸。真の──


「何してんだ露李。入っぞ」


「ちょっ理津待って!!」


「あ?何だよ」


教室の前で深呼吸をする露李に怪訝な顔を向けたのは理津。

久しぶりの教室に戸惑っても良いくらいなのに、理津と疾風は何食わぬ顔で立っている。


「待ってやれ。こいつ初めてだろう、記憶弄った後に学校来るの」


「あー…そうだったな」


いつもの仏頂面でも、疾風は優しかった。

理津も納得した表情で腰に手をあてて待ってくれる。


「よし、よし。オッケー。行こう」


大きく息を吸って拳を握った。

どういう状況なのかは想像もつかないが、二人がいるなら大丈夫だ。


「もう良いのか?行くぞ」


「あんま心配すんな」


そう言って二人がガラリと扉を開ける。


「お、おはよう……」


露李がそろそろと入るのに対し、二人はその後ろを堂々と歩いた。

クラスメイトたちが一斉にこちらを振り向く。


「あー!神影さんお帰りー!」


「元気にしてた?留学はどうだった!?」


クラスメイトの女子が一気に寄ってきて露李を取り囲んだ。

一方男子二人はするりとその場を抜け、友達の方へ歩み寄る。


「りゅ、留学?」


「そうだよー!いきなり決まって大変だったね、親御さんの転勤も兼ねてたって聞いたよ」


「すごいね、あたしたちこの町から出たこともないから羨ましい」


静の記憶操作でどうやらそういうことになっているらしい。

露李の得意科目の英語を活かしてくれた結果なのだろうか。


「転校してきたばっかりだったのに、本当お疲れ様」


にっこりと微笑んでくれる彼女たちに笑い返し、ふと疑問が浮かんだ。


「あの…美喜は?」


「あー鮎原さんも神影さんと同じくらいに転校したかな。二人とも挨拶とかなかったからビックリしちゃったよ」

「そうなんだ……」


転校。

旅に出たことの言い訳なんてそんなところだろう。


「そうだ聞きたいこといっぱいあるの」


「え?」


どことなく嬉しそうな彼女たちに露李は首を傾げた。

深刻な話題でもなさそうだが、興味津々といった表情だ。


「朱雀くんと水鳥くんとはどういう関係なの!?」


何とも救いようがないな、と曖昧に笑った。