「皆さん~!」
秋雨たちが料理をしていたそこに入っていくと、一斉に彼らが露李を見てひざまずく。
姫様、と言うのも忘れない。
一瞬居心地が悪そうに苦笑したが、露李は悪戯っ子のような顔で彼らに向き直る。
「皆さんに重大発表です!何と、美喜が目覚めました!」
「誠ですか!」
目に見えて秋雨たちが喜ぶ。
「ほら、美喜」
後ろに隠れさせていた美喜を引っ張り出し、彼らに見せた。
「美喜……!良かった」
そんな声が漏れ聞こえ、また美喜は目を見開く。
「あたしで、いいの」
有明さまでなく。
秋雨たちは笑って頷く。
「…仲間だと思っている」
また、彼女の目から涙がこぼれた。
どうしようもなく感情が溢れた。
「感動の再会も良いけどよ、これからお前らどうすんだ?」
結が腕を組んで壁にもたれながら尋ねる。
美喜が目覚めたら出ていくと言い張っていたが、具体的なことは何も聞かされていない。
「私達は旅をしようと思う。扇莉が力をつけるために回った地に陰の気が残っていないか探して、清めていきたい」
「バラバラになる訳じゃないんですね」
「ああ。それに…露李姫がそう望まれると思った」
穏やかな笑顔の秋雨に、思わず露李の口許が緩んだ。
はい、と返事をする。
「美喜はどうする?」
今度は美喜に向けられた視線。
「あたしは──」
露李のそばにいたい、けれど秋雨たちの言うように有明と自分達の業を少しでも清めていきたい。
「行ってきなよ、美喜」
「露李」
「美喜が学校にいないのは寂しいけど、でも、私のことは大丈夫だから」
頼もしく笑った彼女に、美喜は小さく頷く。
「お世話になりました」
言うべき言葉が見つからず、そう言う。
露李は少し間を置いて頷いた。
その場面を眺めていた水無月が口を開く。
「あ、ねえ。そうは言ってもまだ準備あるでしょ秋雨くん。鬼のことを話してよ全部。花姫とも同期でしょ」
「ああ、そうだな。すまない」
──真実が近づいた。


