【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「おっせーなお前ら!てか文月呼びに行ったんじゃなかったか。心配するだろー」


座敷に入ったとたん聞こえた風雅の喚き。


「すみません、私の髪がまとまらなくて」


「お前は別にいい」


何せ姫さんだからな。

そう言ってにかっと笑う風雅。


──何でかな。なんか突き放された感があるというか。


不服そうな顔をしていたのか、風雅が露李の顔を見て吹き出した。


「おせえぞ」


またにかっと笑って頭に手がおかれる。


「問題はお前だ文月!女子の部屋で何してやがったー!」

「別に取り立てて言うほどの何かはしてなかったけどね」

「お前が"呼びに行く"と言ったのを確かに聞いたぞ俺はー!」


見ているだけで元気が出そうな風雅。

だがそれよりも。

目の前には見ているだけでよだれが出てしまいそうな朝食。 

艶やかな白米、香しい味噌汁、焼き加減完璧な鮭。

沢庵はキラキラしているし、ほうれん草のおひたしは宝石さながらの輝き。


「素敵…!」


食卓をみた露李の呟きが聞こえていたのかどうか、水鳥が妖しげに笑う。


「姫様、食わせてやろうか?口移しで」


そんな言葉も露李の耳には入らない。


「黙れサル。それより結先輩は腹へってたんじゃなかったのか…?」


呆れたように言う朱雀。


「忘れてるみたいですね…」


確かに、と露李も風雅を眺める。


「それになんか…文月先輩の機嫌が」


「ああ、最高潮に悪いな」


「なぁ姫、ガキは放っといて色気のあることしようぜ。何からがいい?女の子は大抵、キスとかせがんでくるけど。それ以上でも特別に許しちゃうよ?」


こちん。

思考回路が止まる音が聞こえるとしたらこんな音だろう。

「黙れ十八禁。それが姫様に対する態度か」


鋭く睨む朱雀に水鳥はものともしない。