またガラスの割れる音。
最後の球が割れたのだ。
しかし露李には一つの光景以外、何も見えていなかった。
手当たり次第に雹雷鬼を振り回した後の、自分の周りに横たわる彼らを見て、呆然としていた。
自分の叫びと共に放たれた気が文月たちを圧倒したのだ。
そこにいる何者も、露李に近づこうとはしなかった。
否、近づけなかった。
あまりにも悲痛な表情で佇む彼女に、どんな言葉をかけて良いか分からなかったのだ。
有明を除いては。
有明だけは満足げにそれを見ていた。
秋雨は目を見開き、星月夜は目を背け、宵菊は俯いた。
水無月は何か言おうと口を開いたが、結局何も言えずに押し黙る。
空洞のような瞳で、横たわる人物を眺める。
わた、私が、ころした。
しん、だ。死んだ。
私が。
「あ、ああ…」
文月たちは獣になることを望んでいなかったはずだ。
だからと言ってこれで良かったのだと思えるはずがない。
「私が、私がっ…」
はらはらと涙が落ち、地面を濡らした。
拭うこともせず、立ち尽くす。
あのまま抵抗しなければ、彼らは生きていたのだろうか。
獣化した姿でも、生きていると言えるのだろうか。
あるいは、自分を殺せば元に戻れたのだろうか。
さらさらと露李の髪が風に靡いた。
「泣いてんじゃねーよ、バカ」
目が誰かの手に塞がれる。
しかしその誰かは考えるまでもなかった。
「結、先輩…」
その声が、心臓を揺さぶる。
視界が開け、にっと笑った結がそこにいた。


