【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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『やめろっ、秀水さん!!』


叫んだつもりは無いのに、大声が自分から出ている。

そんな奇妙な状況から、自分が眠っているのだと分かる。


結は、何度も覚めることのない悪夢を見ていた。


バリバリと自分の親戚を喰らう獣、それはかつての柔和な笑顔を称えた人物からあまりにかけ離れていた。


『駄目だ結っ、この人露李ちゃんの方に行く!』


文月が植物の蔓で秀水を縛るものの、邪気でどんどん腐食されていく。


『くそっ』


風の刃で止めようともするが、獣は無理矢理にでもその渦を出ようとする。

傷だらけになってもなお、突き進む。


【うああ…】


呻くだけの彼の声でさえも、結には痛かった。

怒ると怖いが、そうでないときはいつも穏やかで優しかった。

当主と頭領、関わりは少なくなかったため、戦う度に秀水の顔がちらつく。


やめてくれ。やめてくれよ。

あんたを倒さなきゃ俺は大事なものを守れねーんだよ。


『ほうほう、面白い。なかなか』


その声が聞こえた瞬間、するりと入ってきた醜い感情──。