はぁ、とため息をついた大地に露李が不思議そうに首を傾げる。
「…海松」
「はい?」
にこにこと姫を眺める海松を見て、またため息。
「…ちょっとどいてて。対象を絞った方が効率いいから」
何の事か分からずぼんやりしていると、大地が露李の頭──無惨な形の髪に手をかざした。
ふわりと大地の手から浅葱の光が溢れだした。
その光がどこからか水を運んで来る。
無重力の中のように球になった水が栗色の髪をとかし、美しく腰に垂らす。
「ま、こんなもんでいいでしょ」
「私の作品が…」
ぼそりと呟く海松。
聞こえていたものの頓着せずに廊下を歩きだす大地。
なんとなく居づらい雰囲気にあたふたする露李だった。


