「おーい、大丈夫?」
外から大地が呼び掛ける。
朝食だと露李を迎えに行ったきり戻ってこないため不安だったのだ。
「ふ、文月先輩!?」
中から慌てた露李の声が聞こえる。
「そうだけど」
大事無さそうだと胸を撫で下ろすものの──何をしているのかと怪訝に思う。
心配した手前、少しの腹立たしさもあるが。
「すみません、問題ないです!」
えー、と食い下がるがそれ以上の返答はない。
諦めて座敷へ戻ろうとする。
「お待たせしました!」
スパーンと襖が開き、なんとも珍妙な格好の露李が大地の目の前に立った。
「…何その髪」
「私が結わせて頂いたのです、いかがですか?」
後ろから海松が満足げに言う。
「え。いかがも何も」
困惑する大地。
頭頂部に盛り上げた髪を、四方八方に垂らしている。
妙、と言っても言い足りないほどには珍妙な格好だ。


