【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

ひたすらな沈黙にいち早く根をあげたのは、言わずもがな露李。


い、一分一秒が長い、と視線をさ迷わせる。


「露李、変なギャグとかかますなよ」


じろ、と音がしそうな視線をよこされたので、押し黙る。

疾風には呆れられることが多いな、とどうでも良いことを考える。

こんなときに絶対というほど露李にくっつきそうなのが水無月なのだが、彼はいっこうに話さない。


「氷紀ー…」


つい癖で呼んでしまう。

瞼を閉じていた水無月が、目を開けて露李を見た。


「ああ、ごめんごめん。不安だったか。ちょっと露李に危害を加えようとしてる奴の気がないか確認しようと、全力を使っていた」


そう言う水無月の額にはうっすらと汗が滲んでいた。

涼しい顔をしているが、相当なのだろう。

結界の張られている中ではかなり消耗する。


「で、どうだったんだ」


「…気が、感じられない」


「なら、良かった」


しかし、水無月は首を横に振る。

それが何を意味するのか、疾風は理解しかねているようだった。

いつになく神妙な顔で露李が水無月に向き直る。


「それは──“全て”の気が無いってこと?」


頷くのを確認し、目を瞑る。

最近はコントロール出来るようになっていたが、不安なので使わなかった力─今、使うべきだろう。

鬼の力を自覚した当初は、誰がいようとすぐに分かってしまった位なのだから。

己の中の銀を意識すると、周りがふわりと暖かくなった。

露李を囲むように、金銀の光の球が舞う。


「…おかしい。全然、何も感じない」


人─妖しにせよ、鬼にせよ。

“自分”があるものは、何かしらの気や、思念を放っているものだ。

それを感じられなくなるのは、それそのものが“無くなった”とき。

露李もか、と珍しく水無月が焦りの色を見せた。


「朱雀、気を抜くなよ。──危険だ」


「分かってる」


立ち上がり、耳をすます。

離れにあるため、元より人の声は無に近い。


異常が感じられなかった。