「お待たせー」
隣で呑気に部屋に入る露李。
露李、さっき本当に怒ってたのかな、と水無月が思うほどだった。
勿論、そんな声をかけられた五人は拍子抜けだ。
「…。大丈夫なのか」
疾風の問いに、うん、とこれまた呑気な返事が返ってくる。
一安心したところで、結が口を開いた。
「水無月が血相変えて『露李の気が揺らいだ』っつーから何かと思ったぞ!行くなとか言われるし、つーか、何された!」
「ちょ、落ち着いて下さいよー。もう、心配し過ぎですよー結先輩。ちょっとムカつくこと言われたから、啖呵切っただけで」
「露李ちゃん、それだとヤクザの奥さんみたいだよ」
まあ、君は芯通ってるから筋が良いかもね、と文月が嬉しくない感想を言う。
「何ですかそれっ。あ、そうでした皆、これ着せてもらったんだけどどうかな」
あくまで澪子のことは話さないつもりらしい。
水無月も露李の気を揺るがした者の名は言わなかったのでそれは良いが。
─澪子さん、大丈夫かな。
水無月の最後の言葉は、心配している静達へ事情を説明すると言っていたようなものだが。
確かに露李と一緒にいたのは澪子だけなので何かあればすぐに分かってしまうのだが、言わなければそれで終わりだ。
大方、静に嫌われたと絶望している所だろう。
あの場で去ってしまったので、自分がバレてないよなどと伝えに行くのは少々恩着せがましい気がした。
露李はそんなことを考えながらくるりとその場で回ってみせた。
用意された着物はごく白に近い水色と藤色の地の二枚を重ねたもので、それぞれ裾に花の模様が散っている。
加えて、露李のハーフアップの後ろにある桜の髪飾りが特有の栗色を引き立てていた。
「もちろん可愛いよ、露李!」
水無月がすかさず褒め、それを聞いてえへへと頬を染める。
「似合ってるよ、露李ちゃん」
「本当、お綺麗です!」
文月と静にも褒められ、嬉しくなる。
「良いんじゃねぇ?やっぱり紫似合うな露李。エロいし、何より和服って脱がせやすそうだしな」
「意気揚々と十八禁を発揮するな。…まあ、良いんじゃないか?露李にしては」
「馬子にも衣装だな!」
何だろう、この馬鹿にされた感。
「だからそれどういうことですか!?悪かったですね、美人じゃなくて!」
もうちょっと言いようがあるでしょう、と反論。
「えー、俺は褒めたぞ、エロいって」
「それ褒め言葉だったんだね初耳だよ理津ありがとう。……疾風の馬鹿、結先輩のアホ」
「子供か」
「疾風、涙出そうなんだけど」
「子供だな!」
「結先輩に言われたくないです!」
そう結に訴えながら、少しほっとしていのだった。


