*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
チュンチュンと雀が鳴いている。
うっすらと瞼を上げると、木枠の付いた窓の外に透明な水色が広がっている。
昨夜、はち切れそうなほど食べたはずのすき焼きはキチンと消化されていた。
「美味しかった…」
噛むほどに旨みがとろけるあの味。
静くんの言う通りだな、と少し頬を弛める。
いそいそと布団から這い出し、バッグから巫女装束を取り出した。
神影家の紋が入った特別なもの。
手早くそれを着て、襖を開ける。
縁側にも通じる部屋だから出入りがしやすい。
時計は見ていないが、誰も起きていないあたりまだ早い時間なのだろう。
──境内のお掃除でもしよう。
露李が適当な倉庫から箒を取って掃いていると、
「露李さま!そのようなことは…!」
焦った、甲高い声。
「あ。おはよう海松ちゃん」
「おはようございます、姫様。掃除など私がいたします!」
珍しく、というほど時間も経っていないが──巫女装束姿の海松が箒とハタキを手に佇んでいた。
「いいえ、良いんです。それに巫女の仕事は私がやらないと」
食い下がろうとする海松に有無を言わせない笑顔を浮かべる。
「じゃあ一緒にやりましょう」
それで幾ばくかは納得したのだろう、海松は小さく頷く。
チュンチュンと雀が鳴いている。
うっすらと瞼を上げると、木枠の付いた窓の外に透明な水色が広がっている。
昨夜、はち切れそうなほど食べたはずのすき焼きはキチンと消化されていた。
「美味しかった…」
噛むほどに旨みがとろけるあの味。
静くんの言う通りだな、と少し頬を弛める。
いそいそと布団から這い出し、バッグから巫女装束を取り出した。
神影家の紋が入った特別なもの。
手早くそれを着て、襖を開ける。
縁側にも通じる部屋だから出入りがしやすい。
時計は見ていないが、誰も起きていないあたりまだ早い時間なのだろう。
──境内のお掃除でもしよう。
露李が適当な倉庫から箒を取って掃いていると、
「露李さま!そのようなことは…!」
焦った、甲高い声。
「あ。おはよう海松ちゃん」
「おはようございます、姫様。掃除など私がいたします!」
珍しく、というほど時間も経っていないが──巫女装束姿の海松が箒とハタキを手に佇んでいた。
「いいえ、良いんです。それに巫女の仕事は私がやらないと」
食い下がろうとする海松に有無を言わせない笑顔を浮かべる。
「じゃあ一緒にやりましょう」
それで幾ばくかは納得したのだろう、海松は小さく頷く。


