【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

やっぱり距離に免疫がない露李は手をバタバタさせて慌てるばかりだ。


今日は皆さんどうしたのでしょう、と回らない頭で考えるが答えは出ない。


「先輩…?」


何だか元気のない文月の髪をおどおどと撫でる。

どうしたものかと困っていると、助けは来た。


「大地…………貴様、そんなに死にたいか」


ギラリと赤い瞳が光っている。

そんな目を持つのはただ一人だ。


「あ、氷紀──」


「どこに行ったのかと思えば露李…浮気してるの?」


「前提から何か違う!」


水無月が息を切らして近くの蔵の屋根の上に立っていた。
髪が乱れている辺り、大分探したようだ。


「クソッ、この神社無駄に広い」


無茶苦茶な言いようだが、広いには変わりない。


「何か用があったの?」


そう訊ねると気まずそうに目をそらす。


「用、っていうほどの用じゃないから良いんだ」


「へぇ?用はないのに殺されなきゃいけないんだね俺」


恐ろしく不機嫌な顔で文月が露李から離れた。

離れてみるとさっきの距離を実感して恥ずかしくなる。


「殺して欲しいのか?」


脅しでも冗談でもなく、心底不思議そうに聞く水無月。


「氷紀兄様、何言ってるんですか!?」


そんなわけないでしょうっ、とすかさず突っ込む。

そっかーと間の抜けた返事をしてから、勢いよく水無月が屋根から飛び下りた。

雪の上に何事もなく着地。


「すごい」

思わずあげた声に嬉しそうな顔をする。


「ありがとう。それで?大地、貴様何をしていた?」


「別に?露李ちゃんの肩借りてただけだけど、見て分からなかった?」


「露李の肩」


文月の腕の中にいる露李を自分の方に引き寄せながら呟いた。


「お前などに露李の肩は貸さん」


さっきまでの嬉しそうな表情が一変。


「こういうのを般若の形相って言うのかな」


「ふざけるな。般若は怨みのこもった女だろう、怨みはあるが俺は男だ。あんな下等なものと一緒にするな」


そうか般若は下等なのかと違うところで頷く文月。