【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

術を使えばお手の物、すぐに屋敷は修復された。


秋雨は縁側に座り、瞼を閉じる。

妙に心に響く睡蓮の言葉。

そして、温かいと感じた日々が脳裏にちらついて仕方がない。


『秋雨さん、何してらっしゃるんですか!?』


『何って、拭き掃除だが』 


いつものごとく屋敷の拭き掃除をしているときにかけられた声。
 

『そんなの私がします!さっき帰ってきたばっかりでしょう秋雨さん!』


『あ、ちょっ何をする露李殿っ』


雑巾を奪い取られた。

何かと雑用をしたがるのは彼女の趣味なのだろうか。


『そういった仕事をするのが好きなのか』


『好き、ってほどじゃありませんけど──』


忘れられるんです、と笑った彼女の顔は寂しそうで。


『忙しくしてると気が紛れるし、辛くないんです』

 
『自分で選んだ道だろう』


『貴方が言うんですかそれ、最初は強引だったくせに。まぁ自業自得だからしょうがないんですけど』


辛くないわけがない。

分かっているのに意地の悪い質問だった。


『わりかし皆さんイイ人ですよねー。最初はすごい怖かったけど』


『それは、』


『あーっ秋雨くん何話してんの!?俺がいない間に!』
 

『うるせえ水無月!ちっとは静かにできんのか!』


『そういうテメーらもうるせぇんだよな…』


『何だ何だ、何を話しておる?』


『あっ有明様に宵菊さん!』


 

──すまない。露李殿。俺は──。


ゆっくりと瞼を上げ、立ち上がった。