***
着替えて来なよ、と文月に言われ露李は一度部屋に戻り、豪勢な振り袖ではなく普段着に着替えた。
頭に飾っていた花はとっくに萎れていたので申し訳ないが土に埋め、祈りをこめた。
やっと皆の集まる部屋に行くと、どうやら他の面々も着替えたようだ。
「食っちまうぞ露李!」
「えっそんな待ちました?すみません」
「大丈夫だよー露李、今来たとこ」
水無月が露李の服の端をツンツンと引いて微笑んだ。
「カップルみたいな会話だな」
疾風が冷静に突っ込むのに対し、結は顔を真っ赤にさせた。
「カップルだと!?」
「なに結、うるさいんだけど」
「おう悪かったな…じゃねー!」
迷惑そうな視線にノリツッコミしてから結がビシッと水無月の顔を指差した。
「お前な!公衆の!面前で!破廉恥だ!」
「…人の顔を指差すなと習わなかったか、貴様。この俺に向かって指を差すなど──」
「わぁっ、先輩引っ込めてくださいよ!」
水無月の銀の気を見た瞬間、静が結の指に飛びつく。
いてぇ、と顔を歪めたのは指から聞こえたボキッという音と無関係ではないだろう。
「破廉恥って…会話だけで破廉恥とか。つか言語センスを疑うぜ」
鼻で笑う理津。
「なぁ結、そんなんでもし俺が露李にあんなことやこんなことしたらどうすんだてめぇ」
「あんなことや、こんなこと………!?」
「何想像してんですか!?ていうかこれは久しぶりに会った私たちの情報交換の場じゃなかったんですか!?」
露李が叫ぶと一斉に静かになる。
「お見事ですわ、露李様」
海松の褒め言葉に苦笑いしながら深呼吸する。
「えっと、それじゃあまず、」
神妙な顔の露李に全員が注目する。
「…いただきます」
「その顔でそのワードを吐くんだな…」
疾風のドン引き顔にむうっと唇を尖らせた。
「いいよ露李ー、そんな天然なとこもかーわいい」
ついでに水無月の甘い言葉にも周りがドン引きしているのに二人は気づいていない。
まぁ、と露李は箸を手に持って卵焼きをつまんだ。
所狭しと並ぶ食べ物の中でも海松のそれは絶品だからだ。
「海松ちゃん相変わらず美味しい!」
「ありがとうございます」
海松の口元がふにゃふにゃと弛む。
待ち望んでいた言葉だった。
守護者たちも口に料理を運んでは頬を弛ませている。
「はい、質問です」
唐突にも露李が挙手した。
ん?と各々の返事が返ってくる。
「どうして居場所が分かったの?移動の仕方えげつなかったし…結界もあったし」
あぁ、と文月が微笑む。
「それはね露李ちゃん。覚えてる?俺たちが最初に露李ちゃんにかけた術」
「術?」
そんなものがあっただろうか。
湯気の中で首を傾げる。
「あれ。露李ちゃんに危害を及ぼすものがあったら、それが俺たちに伝わるってやつ」
「忘れたか?身体に電流が走るみたいに感じるって言ったら泣いてただろ、露李」
疾風の言葉で少し思い当たるものがあった。
着替えて来なよ、と文月に言われ露李は一度部屋に戻り、豪勢な振り袖ではなく普段着に着替えた。
頭に飾っていた花はとっくに萎れていたので申し訳ないが土に埋め、祈りをこめた。
やっと皆の集まる部屋に行くと、どうやら他の面々も着替えたようだ。
「食っちまうぞ露李!」
「えっそんな待ちました?すみません」
「大丈夫だよー露李、今来たとこ」
水無月が露李の服の端をツンツンと引いて微笑んだ。
「カップルみたいな会話だな」
疾風が冷静に突っ込むのに対し、結は顔を真っ赤にさせた。
「カップルだと!?」
「なに結、うるさいんだけど」
「おう悪かったな…じゃねー!」
迷惑そうな視線にノリツッコミしてから結がビシッと水無月の顔を指差した。
「お前な!公衆の!面前で!破廉恥だ!」
「…人の顔を指差すなと習わなかったか、貴様。この俺に向かって指を差すなど──」
「わぁっ、先輩引っ込めてくださいよ!」
水無月の銀の気を見た瞬間、静が結の指に飛びつく。
いてぇ、と顔を歪めたのは指から聞こえたボキッという音と無関係ではないだろう。
「破廉恥って…会話だけで破廉恥とか。つか言語センスを疑うぜ」
鼻で笑う理津。
「なぁ結、そんなんでもし俺が露李にあんなことやこんなことしたらどうすんだてめぇ」
「あんなことや、こんなこと………!?」
「何想像してんですか!?ていうかこれは久しぶりに会った私たちの情報交換の場じゃなかったんですか!?」
露李が叫ぶと一斉に静かになる。
「お見事ですわ、露李様」
海松の褒め言葉に苦笑いしながら深呼吸する。
「えっと、それじゃあまず、」
神妙な顔の露李に全員が注目する。
「…いただきます」
「その顔でそのワードを吐くんだな…」
疾風のドン引き顔にむうっと唇を尖らせた。
「いいよ露李ー、そんな天然なとこもかーわいい」
ついでに水無月の甘い言葉にも周りがドン引きしているのに二人は気づいていない。
まぁ、と露李は箸を手に持って卵焼きをつまんだ。
所狭しと並ぶ食べ物の中でも海松のそれは絶品だからだ。
「海松ちゃん相変わらず美味しい!」
「ありがとうございます」
海松の口元がふにゃふにゃと弛む。
待ち望んでいた言葉だった。
守護者たちも口に料理を運んでは頬を弛ませている。
「はい、質問です」
唐突にも露李が挙手した。
ん?と各々の返事が返ってくる。
「どうして居場所が分かったの?移動の仕方えげつなかったし…結界もあったし」
あぁ、と文月が微笑む。
「それはね露李ちゃん。覚えてる?俺たちが最初に露李ちゃんにかけた術」
「術?」
そんなものがあっただろうか。
湯気の中で首を傾げる。
「あれ。露李ちゃんに危害を及ぼすものがあったら、それが俺たちに伝わるってやつ」
「忘れたか?身体に電流が走るみたいに感じるって言ったら泣いてただろ、露李」
疾風の言葉で少し思い当たるものがあった。


