それにしても、この状況で五人が笑顔でいるのが不思議で仕方ない。
もちろん気を遣ってくれているのだろうがそれでも、見ず知らずの人間を守るなんて納得いくはずがないのに。
納得。
そんなことを考える自分だって自分の立場に納得していない。
ただ守られる存在など重荷でしかないのに、自ら重荷になりたくはないのに。
「おい疾風、てめぇ…この前俺のビスケット食ったろ。その分は肉で払えよ」
「お前のビスケットなんか知らねぇよ。だいたい、理津は子ども味覚なんだ」
「あ!?」
「二人とも仲が良いねぇ。全く見てるだけで疲れてくるよ、ねぇ静」
「えぇ、答えにくいこと振らないでください」
それぞれがワイワイ過ごしているのを眺める露李。
こんなに騒ぐことがなかったから羨ましい、というのが本音だ。
「大丈夫だぞ」
はっとして横を見ると、いつの間にか結が隣に座っていた。
「俺たちは全部納得してる。覚悟もある。だから余計なことは気にするな」
見透かされて、いた。


