【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく



─俺の前ではそんなんじゃないのにー。


水無月はギャーギャー騒ぎだす二人を見て、面白くなさそうに頬杖をつく。


「ん、あれ?何かあったの?」


文月が少し首を傾げて訊いた。


「貴様に言うことなど何もない。…ああ、そうだ大地」


水無月は何か思いついたように文月の方を向く。


「何?」


あるんじゃない、と言い返したいが後が面倒になりそうなのでやめておく。


「風雅は露李が好きなのか?」


思いもよらない質問に少し目を見開いた後、柔らかく笑った。


「さあね」


はぐらかすなと言いたいところだったが存外違うらしい、と水無月はまた露李に目を戻した。

と、


「あ、海松ちゃんが来る」


露李が襖の方を見て呟いた。


「分かるのか?─おー、ほんとだな」


守護者の周りにそれぞれの色が立ち上る。

結の周りは翡翠、文月は浅葱。

疾風は赤で静は萌黄、理津は紫。

カラフルだなと思いながら水無月は目を瞑った。

露李からは金と銀の入り交じった気配を感じる。

自分ならどうだったのだろうと考えて──。


「ねえ。露李、俺身体に戻りたいんだけど」


思い出したように言う。

慣れすぎて忘れていたが、霊体では思ったようにはいかないのだ。
 

─露李に触れることも抱き締めることも撫でることもしてないんだけど。

あれ、何日目これ。絶食始めて何日目。

いや、絶食じゃないか。絶触。


一人で考える水無月は自分の言葉遊びに笑みを浮かべる。


「ふっ」


「何笑ってんだよ不気味だなー」
  

「貴様には一生分からないだろうな」


得意気な水無月に結は怪訝な顔をした。