【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「それで?二人で何してたんだよ」


露李の正面には、むすっとした結が座っていた。


夕食に来るのが露李一人ではなく水無月も一緒だったので機嫌が悪いらしい。


「何、と言われますと…」


何をしてたんだろう。

露李があからさまに狼狽えたのを引き受けて、水無月が口を開いた。


「単に同胞として話をしていただけだ。何だ、貴様文句でもあるのか?」


「大アリだ!」


「どうしてだ」
 

「え、は!?どうしてって…そんなの、なあ疾風!」


急に話を振られるも、疾風は真面目な顔で露李を見た。


「二人して遅いと、何かあったのかと心配する。それに俺たちは守護者だ、守るのは俺たちだ」 


「あ、そっか…ごめん」


「てめぇら心狭いな相変わらず。露李、俺の隣来いよ」


理津は欠伸をしながら自分の隣をポンポンと叩く。


「駄目だよ露李ちゃん。定位置があるからね」


そこに乱入したのは文月。 


「くっそ、文月のヤツ──」
 

「何?理津」

ヒヤッとした空気が文月の周りに漂う。


「…何でもねぇよ先輩」


「だよね」

にっこり笑う文月が怖く見えたのはきっと理津だけではない。


「うう…」


「露李先輩、どうしたんですか!」


唸りだす露李に静が駆け寄る。
   

「いや、大丈夫…」


文月がひたすら怖いだけで。


くるくると表情を変える露李を結は不機嫌面のまま眺めていた。

相変わらず面白い。

だが、問題は水無月だ。

露李の気持ちを知っているからか何なのか──ムカつく。

水無月が露李の中の「氷紀兄様」を変えようとしているのは確かだ。


「あーもう性質わりーな!!」


「何、結。うるさいんだけど」 


文月に言われ、またむすっと黙りこむ。


しかしてその表情は。


「あ?何だよ露李」


目をキラキラさせた露李に見つめられる。


「結先輩、あの」


らしくもなく口ごもる。


「何だよ、早く言えよ。どうした?」


「いや、だって先輩怒るかもしれないし」
 

「何だそれ。そんな簡単に怒らねーよ。いつだって優しい器の広い風雅 結様だぞ?」


そう言うと露李はきっと決意の表情をした。


「先輩、可愛いです!」


ええ、とても!と付け足された。

結が固まる。

その顔が少し赤くなり、


「何つったお前ー!」


「だから怒るかもって言ったじゃないですかー!」


露李も負けずに叫び返す。