【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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翌日。

守護者五人が揃って休むと怪しまれるからと登校はしたが、五人とも勉強など頭に入らなかった。

終わるや否や結の風を操る力を使ってまで急いで帰って来たのだ。


「露李」


薄闇の中、疾風は固い球に人差し指を滑らせた。


「熱いかもしれないけど、ごめんな」


守護者たちは露李を囲んで陣を組んでいた。


「烈火!!宿して中へ、硬化!」


静が叫ぶと、疾風の拳に火が灯る。


「うおおおお!」


叫ぶと同時に叩きつけられる拳。

バチバチと火花が散るが、その火花さえも青の球に吸い込まれていくようだ。


「クソッ…」


悔しそうに吐き捨てる。

どうしてだよ。目を覚ましてくれよ。

またアホみたいに騒いで、笑いたいのに。


「おいクソ疾風。早く退きやがれ」


見かねた理津はさも面倒そうに声をかけた。

しかし本心は心配しているのだ。

日に日に皆が弱っていくようで─それは理津自身も例外ではなかったが─、怖かった。

文月は沈み込むようになった上、疾風はいつもの仏頂面をさらに難しくして、落ち着いていたはずの静は忙しなく歩き回っている。

結はことさらに明るい。

それは幼馴染みである自分たちに気を遣ってのことだと、理津は分かっていた。


「よっしゃ疾風!次だ次!」


結が疾風に歩み寄り、その顔を覗きこんだ。


「結…」


「なーに情けねー顔してんだよ!早く次行くぞ!」


疾風の藍が揺れる。


「あー、つかあれだな。方策浮かばねーな」


シリアスな状況に関わらずドテッと転びたくなった。


「お前らっ、何だよその反応は!」


「だって『俺には百個くらいはあるぞ!安心しろ!』って言ったのは誰なの。結」


「一緒に考えた挙げ句の『俺には』発言ですからね」


文月と静は肩を揺らして笑っている。


「んん」


呻きで答える結に疾風も拍子抜けだ。

重大な問題だというのに、結が言うと何とかなるような気がしてしまう。


「──ああ、だから」


強いんだな。


理津は苦笑しながら確信した。


「確かにもう百五十二通りは試しましたね」


「そんなにやったのか?」


「短ぇもんだな、時間っつぅのは」


さらっと言える数字じゃないけどね。

文月は顎に手をあてて心の中で一人ごちる。

もう策は無い。

露李ちゃんを、助けられない。

文月の眉間に深いシワが刻まれた。


『あっ、文月先輩!』


『ううー、助けてください先輩ー』


『いだっ!』


──そう。


困った後輩だ。

理津にいじめられて半泣きで来るかと思えば、すぐに笑って。

最初に会ったときは人形みたいな無機質な顔をしていたのに、コロコロコロコロ表情が変わるようになって。

初めは面倒だと思っていたのが、いつしか楽しくなってしまった。

次はどんな顔をするのかな、なんて。

面倒だって、思ってたのに。


「困った子だよ」


だから。

またあの子に会うために。


「ほらほら早く!!」



何度だって立ち向かうよ。