【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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現実は、そう上手くいかない。

球の前で結は立ち尽くす。


「露李、起きてよ。何で起きないの?からかうのはやめてよ」


子供のように水無月が球体に話しかける。

よろよろと海松がやって来て、泣きながら結に治癒を施す。

痛みが消えていくのを感じながらも、声すら発せずにいた。

それは疾風、理津、文月そして静とて同じことだ。

水無月は一歩下がり現実から目を背けるようにして振り返った。

視界の端に、露李の銀に縛られた仲間たちが映る。


「ああ、ごめん。忘れてた」


身動きのとれない四人に近づき、再び手に炎雪鬼を出現させる。

自分に力を吸い取られた露李からできた拘束を解くことなど容易い。

露李の力を一時的に保管しているために、水無月は元から持つものよりさらに強大な力を保有していることになるからだ。


炎雪鬼で銀を断ち切る。


「すまない、水無月」


秋雨が水無月に頭を下げた。

それに薄い笑顔で応えて、黙り込む。

一瞬で彼が風景と化した。

闇に紛れた“物”に成り下がる彼を、星月夜が沈痛な面持ちで見つめる。


「忘れんな、水無月。有明様との約束を」


冷めた口調と表情で睡蓮が言った。


「ちょっと、睡蓮!」

宵菊が何を思ったか非難するように口を挟んだ。

水無月はまたいつもの薄笑いを貼り付け、守護者たちを見た。


「今、露李を連れて行く訳にはいかないみたいだね…ねぇ雑魚。守護者って言うんなら、俺が来るまで守ることくらいできるよね」


「お前が来ようが来まいが守るに決まっているだろう」


疾風が水無月を睨む。


「そう。…じゃあ、行こうか」


その言葉と共に、水無月たちは闇に消えて行った。