【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「起きなさい、露李」


「お母様…」


「全くみっともない。もう夕食の時間ですよ」


ふっと目を覚まし、現実だと気がついた。

まだ夢のなかでも良かったかもしれない、と思う自分がいた。

露李の顔がくしゃりと歪む。


「お分かりですか、風花姫の役目が」


「いえ…」


身体が重くて動かない。


「恥ずかしいことですね。花霞を見ましたね?あの弓の中の魂を私たちは封印し続けなければならない。あの霧氷という男は人里を襲い、天候を変え、世界を業火で炙ったのです。悲劇の再来を食い止めるのが私たち神影の役目」


「そんな、でもっ」


「口答えはよろしい。年々封印は弱まる一方です。貴女は早く役目を全うするのですよ、分かりましたね」


再び顔を上げたとき、未琴の姿はもう消えていた。

代わりに海松が襖の陰からこちらを伺っている。


「露李、さま…?」


慌てて駆け寄ってきた海松が心配そうに露李の顔を覗き込む。


「大丈夫ですか…?」


「ええ。ありがとう、海松さん」


本当は泣きそうだった。

やっとのことで体を起こす。


「お夕食の準備ができております。召し上がりますか?」

「皆さんご一緒なんでしょう?頂くわ」


よろよろと立ち上がり、廊下を歩く。

足下が覚束ない。


「あぁ…露李様、少しよろしいですか?」


突然海松が立ち止まり、目に心配を色濃く宿して露李を見た。