*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
「起きなさい、露李」
「お母様…」
「全くみっともない。もう夕食の時間ですよ」
ふっと目を覚まし、現実だと気がついた。
まだ夢のなかでも良かったかもしれない、と思う自分がいた。
露李の顔がくしゃりと歪む。
「お分かりですか、風花姫の役目が」
「いえ…」
身体が重くて動かない。
「恥ずかしいことですね。花霞を見ましたね?あの弓の中の魂を私たちは封印し続けなければならない。あの霧氷という男は人里を襲い、天候を変え、世界を業火で炙ったのです。悲劇の再来を食い止めるのが私たち神影の役目」
「そんな、でもっ」
「口答えはよろしい。年々封印は弱まる一方です。貴女は早く役目を全うするのですよ、分かりましたね」
再び顔を上げたとき、未琴の姿はもう消えていた。
代わりに海松が襖の陰からこちらを伺っている。
「露李、さま…?」
慌てて駆け寄ってきた海松が心配そうに露李の顔を覗き込む。
「大丈夫ですか…?」
「ええ。ありがとう、海松さん」
本当は泣きそうだった。
やっとのことで体を起こす。
「お夕食の準備ができております。召し上がりますか?」
「皆さんご一緒なんでしょう?頂くわ」
よろよろと立ち上がり、廊下を歩く。
足下が覚束ない。
「あぁ…露李様、少しよろしいですか?」
突然海松が立ち止まり、目に心配を色濃く宿して露李を見た。
「起きなさい、露李」
「お母様…」
「全くみっともない。もう夕食の時間ですよ」
ふっと目を覚まし、現実だと気がついた。
まだ夢のなかでも良かったかもしれない、と思う自分がいた。
露李の顔がくしゃりと歪む。
「お分かりですか、風花姫の役目が」
「いえ…」
身体が重くて動かない。
「恥ずかしいことですね。花霞を見ましたね?あの弓の中の魂を私たちは封印し続けなければならない。あの霧氷という男は人里を襲い、天候を変え、世界を業火で炙ったのです。悲劇の再来を食い止めるのが私たち神影の役目」
「そんな、でもっ」
「口答えはよろしい。年々封印は弱まる一方です。貴女は早く役目を全うするのですよ、分かりましたね」
再び顔を上げたとき、未琴の姿はもう消えていた。
代わりに海松が襖の陰からこちらを伺っている。
「露李、さま…?」
慌てて駆け寄ってきた海松が心配そうに露李の顔を覗き込む。
「大丈夫ですか…?」
「ええ。ありがとう、海松さん」
本当は泣きそうだった。
やっとのことで体を起こす。
「お夕食の準備ができております。召し上がりますか?」
「皆さんご一緒なんでしょう?頂くわ」
よろよろと立ち上がり、廊下を歩く。
足下が覚束ない。
「あぁ…露李様、少しよろしいですか?」
突然海松が立ち止まり、目に心配を色濃く宿して露李を見た。


