それにしても、やはり怪我は治っておらず痛々しい。
ギロチンまがいの刃物を振り回された結の顔は切り傷だらけだ。
新調された制服の下も怪我をしているのだろう。
疾風は打撲が大半を占めている。口を開く度に痛そうな顔をしているから、口の中も外も相当に痛めたらしい。
文月には首を絞められた時にできるような痣が蛇のように身体につけられている。
理津は記憶や幻を嫌と言うほど見せられたらしく、体力を急激に失ってげっそりしているし、静は火傷だらけだ。
いつものノリに思わず乗っかってしまったが、改めて見ると俯かずにはいられない。
「まーたそんな顔しやがって、何だぁ?昼飯食い過ぎた
かー?」
結が茶化すように言った。
「違います」
食べ過ぎどころか露李はこの一週間、朝御飯にフルーツか何かを食べるか食べないかでほとんど食べ物が喉を通らなかった。
あの日、五人がそれぞれの家に連れて行かれた日。
露李は作った料理を一人で食べた。
皆が帰って来ないならば、こんなもの。
そう思って食べ尽くした。
気持ち悪くなろうが、どうでも良かった。
「お前がヘラヘラしてないと調子狂うんだよ」
疾風がぶっきらぼうに呟いた。
「露李ちゃん、落ち込まれちゃ戦った意味無いんだけどー?」
優しい。
優しいから、こちらが泣きそうになる。
「にっしても、問題は花霞だよなぁ」
露李の気持ちを知ってか知らずか、結が声を上げた。
「日に日に力が増してやがる。どういう訳だ?今までこんなことなかったのに」
「俺たちも不運だよねぇ」
確かに、花霞の封印場所から禍々しい気配が駄々漏れだ。
未琴の結界がなければやられてしまう。
「露李、てめぇは何もなかったのか?」
理津が露李に訊ねた。
流石だ、と舌を巻いた。
一週間、これまでにないほどの霊力修行を積んだ。
「式神出せるようになったよ」
フッと手に息を吹きかけると、一羽の鴉が姿を現した。
「へえ、やるじゃねぇか」
理津が笑って──ついでに露李に抱き着いた。
「理津っ…」
怪我人を無下にできない。


