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「元気ないわね露李」
昼休み、チョコレートをつまみながら美喜が言った。
当の露李は沈んだ顔である一点を向いている。
「うん…」
疾風と理津の席だ。
あの後、それぞれの家の者が来て、五人を引き取って行った。
特殊能力で負ったダメージは、病院では無理な上に風花
姫でない限り同じ能力の者でないと癒せないらしい。
厳密には治りが遅い、ということだそうだが。
あれだけ戦ったために損傷は酷く、五人はここ一週間学校に来ていない。
かと言って露李まで休ませるわけにはいかないと、海松
が式神を守りに遣わせてくれたのだ。
「あー、何か朱雀と水鳥来てないわねずっと。元気だしなさいよ、調子狂うわ」
美喜が思っているようなものではない。
まさに自分のせいで負った怪我なのだ。
「でも、さっきあたし見たわよ。朱雀と水鳥が校舎裏に行くの」
「嘘っ!?」
ガターンと豪快な音をさせて立ち上がった露李を呼び止めようとするが間に合わず、もうその姿は見えなくなっていた。
*********
息を切らして裏庭へ向かう。
曲がり角に来たところで五人の声が聞こえた。
たった一週間だったが、守護者たちのいない一週間は気が遠くなるほど長く感じた。
懐かしさに胸がいっぱいになる。
皆、良かった。
私のせいでごめんなさい。
また傷つけてしまった。
もう二度と、自分のせいで誰かを傷つけたくないと思っていたのに。
また───。
こんな私に、会う資格なんて無いと分かっているのに会いたいと思ってしまう。
「おー?そこに居るのは分かってんだぞー?」
急に結の声が響いた。
びくっと肩が震える。
びゅんっと一陣の風が通り抜け、あっという間に五人の所まで来てしまった。
顔を見られない。
「あ、の…ごめんなさい」
五秒経っても返事が返ってこないために目を上げると、皆が一様に不思議そうな顔をしていた。
「何で謝ってんだ?」
疾風が首を傾げて訊ねた。
「だって、私のせいで」
そこまで言ったところでグシャグシャと頭を撫でられる。
「なーに言ってんだよ!四の五の言ってねーでこの風雅 結様が全快したって聞いたんなら笑顔で祝えってーの!」
「久しぶり、露李ちゃん」
「よう露李、なんか痩せたか?」
「露李先輩もお元気で安心しました」
五人からそれぞれの言葉をかけられ、また涙が出てきた。
「おわっ!何で泣くんだよ!ほらっ、これやるから泣き止め!」
何かを口元に差し出される。
「クリームパン…」
「たっ、たまたまだたまたま!それしかなかったんだよバカ!」
にしても食べかけは食べづらい。それに。
「ありがとうございます、でも大丈夫です」
「何でだよ!」
「何でって…」
露李が戸惑ったようにパンを受け取り、笑顔を作った。
「結先輩、あーんして下さい。あーん」
「え?何だ、こうか?あーん…ごふっ!」
勢い余って結の口にクリームパンを突っ込んでしまう。
涙目で抗議の視線を向けられるが、ただそれは可愛いだけだ。
「羞恥心の欠片もないんですかっ、貴方は!」
「あー、それ俺も一票入れといて露李ちゃん」
「結はチビだからな、俺も」
「俺もだ」
「…同感です」
ごくりとパンを飲み下した結が涙目のまま信じられないと四人を見る。
「まじでっ!?」
「そうだよ結。これがバンドなら、俺の地元にすっげーギター上手い奴いてさってなるパターンだよ」
「うわーもうめぼしついてるー、ってやつか!」
いやその例えもよく分からないけど。
ていうかバンドだったのか貴方たちは。
「バンドなんですか」
「おう!俺と文月がギターで、疾風がドラムで静がキーボード、理津がベースだ!」
へえ、と相槌を打つ───しかないのだが。
「んで露李がボーカルだ!」
メンバーに入れてくれていたのには感動した。
いつもの調子で迎えるお昼に、露李は自然に笑顔が溢れた。
「元気ないわね露李」
昼休み、チョコレートをつまみながら美喜が言った。
当の露李は沈んだ顔である一点を向いている。
「うん…」
疾風と理津の席だ。
あの後、それぞれの家の者が来て、五人を引き取って行った。
特殊能力で負ったダメージは、病院では無理な上に風花
姫でない限り同じ能力の者でないと癒せないらしい。
厳密には治りが遅い、ということだそうだが。
あれだけ戦ったために損傷は酷く、五人はここ一週間学校に来ていない。
かと言って露李まで休ませるわけにはいかないと、海松
が式神を守りに遣わせてくれたのだ。
「あー、何か朱雀と水鳥来てないわねずっと。元気だしなさいよ、調子狂うわ」
美喜が思っているようなものではない。
まさに自分のせいで負った怪我なのだ。
「でも、さっきあたし見たわよ。朱雀と水鳥が校舎裏に行くの」
「嘘っ!?」
ガターンと豪快な音をさせて立ち上がった露李を呼び止めようとするが間に合わず、もうその姿は見えなくなっていた。
*********
息を切らして裏庭へ向かう。
曲がり角に来たところで五人の声が聞こえた。
たった一週間だったが、守護者たちのいない一週間は気が遠くなるほど長く感じた。
懐かしさに胸がいっぱいになる。
皆、良かった。
私のせいでごめんなさい。
また傷つけてしまった。
もう二度と、自分のせいで誰かを傷つけたくないと思っていたのに。
また───。
こんな私に、会う資格なんて無いと分かっているのに会いたいと思ってしまう。
「おー?そこに居るのは分かってんだぞー?」
急に結の声が響いた。
びくっと肩が震える。
びゅんっと一陣の風が通り抜け、あっという間に五人の所まで来てしまった。
顔を見られない。
「あ、の…ごめんなさい」
五秒経っても返事が返ってこないために目を上げると、皆が一様に不思議そうな顔をしていた。
「何で謝ってんだ?」
疾風が首を傾げて訊ねた。
「だって、私のせいで」
そこまで言ったところでグシャグシャと頭を撫でられる。
「なーに言ってんだよ!四の五の言ってねーでこの風雅 結様が全快したって聞いたんなら笑顔で祝えってーの!」
「久しぶり、露李ちゃん」
「よう露李、なんか痩せたか?」
「露李先輩もお元気で安心しました」
五人からそれぞれの言葉をかけられ、また涙が出てきた。
「おわっ!何で泣くんだよ!ほらっ、これやるから泣き止め!」
何かを口元に差し出される。
「クリームパン…」
「たっ、たまたまだたまたま!それしかなかったんだよバカ!」
にしても食べかけは食べづらい。それに。
「ありがとうございます、でも大丈夫です」
「何でだよ!」
「何でって…」
露李が戸惑ったようにパンを受け取り、笑顔を作った。
「結先輩、あーんして下さい。あーん」
「え?何だ、こうか?あーん…ごふっ!」
勢い余って結の口にクリームパンを突っ込んでしまう。
涙目で抗議の視線を向けられるが、ただそれは可愛いだけだ。
「羞恥心の欠片もないんですかっ、貴方は!」
「あー、それ俺も一票入れといて露李ちゃん」
「結はチビだからな、俺も」
「俺もだ」
「…同感です」
ごくりとパンを飲み下した結が涙目のまま信じられないと四人を見る。
「まじでっ!?」
「そうだよ結。これがバンドなら、俺の地元にすっげーギター上手い奴いてさってなるパターンだよ」
「うわーもうめぼしついてるー、ってやつか!」
いやその例えもよく分からないけど。
ていうかバンドだったのか貴方たちは。
「バンドなんですか」
「おう!俺と文月がギターで、疾風がドラムで静がキーボード、理津がベースだ!」
へえ、と相槌を打つ───しかないのだが。
「んで露李がボーカルだ!」
メンバーに入れてくれていたのには感動した。
いつもの調子で迎えるお昼に、露李は自然に笑顔が溢れた。


