「もう終わりか?」
睡蓮が楽しそうに空中から五人を見下ろしていた。
「もういいじゃないの、殺しちゃいましょう?」
甘く酔いしれるような響き。
「待ちなよ宵菊。そこにゲストが来てるじゃないか」
水無月の金眼が露李を捉えた。
「いらっしゃい。あれ、怒ってるの?」
「殺すなんて、よくもそんなにっ…貴方たちに、この人たちを殺す権利なんかどこにもないはずでしょう!?」
奪う者と、護るもの。
その両者が対立するのは致し方なく、戦いが避けられないのだと分かった。
しかし殺すことは違う。
「そう?こいつらは君みたいに『生』には頓着してなかったけど。守護者を拝命したら、死と隣り合わせだって言われて育ってるんだし」
言葉を失った。
自分は彼等のことを何も知らない。
「俺達の力は正に『陰』。そいつらの力は『陽』。どちらかに力の差があれば弱い方が取り込まれる──そんなことも知らないで向かってくるなんて、無様だよねぇ」
『全てを知らなければ、』
あの言葉が頭を過る。
「ほら、大事な人を殺されたくなかったら」
こっちへおいで。ああ、花霞も一緒にね。
もう考える余地もない。
「皆が護ろうとしてるものを、渡すわけないでしょうが!!」
瞳が金色に変わるのが分かった。
風に揺れる髪が、銀に光るのも。
どうして、雹雷鬼出してないのに。
疑問が浮かぶがそんなことはどうでもいい。
札を五枚出した。
前と同じ札。
素早く術式を完成させ、唱える。
しかし、前とは全く違った。
銀色の光が飛び出し、水無月たちに降り注ぐ。
「ぐぁっ…」
やった本人の方がビックリするくらいの効力があった。
「何よこれ!?」
宵菊の叫びを残して溶けるように敵の姿が消える。
「何で、もっと早く…」
神影の力が開花したわけではない。
しかし、この力をもっと早くに発動できておけば。
五人を振り返る。
「ごめんなさい、ごめん、なさい………」
銀の光が星屑のように光る中、ぺたんと座り込んだ。
「露李さ、ま……」
海松が息を切らせて追い付いてきた。
その光景を見て絶句する。
露李が五人にすがる姿を、ただただ見つめている。
疾風と結の制服を掴み、露李が泣く姿を。
露李の目にはキラキラと光る星屑が、雪のようにも見えて。
いや、本当に雪が降っているのかもしれない。
何にせよ、涙で見えない。
ふと、露李の手の中の五枚の札が銀色に発光した。
また打ち上げ花火のように銀の光が空に上がり、一つになる。
そしてまた五色の光に分かれた。
赤、緑、水色、黄、紫の光がそれぞれの身体に降り注ぐ。


