「あっ、疾風!」
そろそろ敷地に入るかという所で、疾風と静の姿が見えた。
「でかい声だすなよ」
疾風が呆れた顔で露李の頭を小突いた。
「だって、ずっと会ってなかったし」
「はぁ?さっきまで同じ教室いただろ」
「人肌が恋しい季節なのよ」
「意味が分からないな」
疾風の呆れ顔にプイッと顔を背ける。
「それより静くんに疾風、結界の見回り中?」
「はい。結界の見回りを入念にしろと未琴さまのお達しなので」
静が優しく微笑む。
「そっか、ありがとう。理津は?」
「理津は俺たちと反対方向の結界を見に行った。もうすぐ来るんじゃないか?」
理津が一人で行動するのは珍しいことではないため、素直に頷けた。
「あ。本当だ」
理津が左の道からのろのろと歩いてくるのが見えた。
「おーい理津ー」
「おー、露李じゃねぇか。もう全員揃ってんのか」
「うん」
「んじゃ帰ろうぜ」
あれ?と露李は首を傾げた。
今日の護衛は文月と結じゃなかったのか。
「ねぇ疾風。どうして今日は全員なの?」
「お前の安全をより強固にするためだ」
何ともなさそうに答える。
しかし露李は浮かない顔だ。
すると、くしゃりと前髪を撫でられた。
「何?」
「お前が気にすることない。お前はへらへら笑ってろよ」
疾風はぶっきらぼうに言葉を紡ぐ。
顔をこちらに向けていないので表情は見えない。
「んじゃまあ、帰るか!」
結が笑って皆に言った。
───しかし、
「帰らせないよ?」
不吉な、声がした。


