【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「露李!」


部屋を出てしばらく歩くと、結が出てきた。


「結先輩」


「大丈夫か!?何もされなかったか!?」


恩があるとか言っときながら随分だな、と露李は笑った。

「はい。全然大丈夫です!」


「本当なのか」


仏頂面で疾風が出てきた。


「うん、ありがと」


「てめぇ嘘ついたらどうなるか分かってるな?」


理津の不機嫌そうな声。


「ほら、皆待ってるから早くしろー」


結が部屋の前で立つ露李に笑いかけた。


「はい!」


「露李さま、お夕食ができてます」


食卓の上には確かに美味しそうな食事が用意されている。

「露李さまのお好きな…豆腐ハンバーグです」


海松の言葉に露李はふっと目を見開いた。


「海松ちゃん…」


「この前お台所に来てくださったとき、一緒に作って頂いたじゃないですか。一番お好きだったようなので」


確かにそんなことがあった。

食事や何やかや任せきりなのを申し訳なく思い、台所を訪れたときのことだ。

海松はヘルシーな豆腐料理の試作をしていた。

手伝うことはないかと訊くと、味を見てほしいと言われて。

露李が太鼓判を押したのが豆腐ハンバーグだった。


「皆さん洋風のものはあまり食べないことですし」


じんわりと心が暖かくなった。


「ありがとう、海松ちゃん…」


「何のことでしょう?」


「ほーら、露李ちゃん。立ってないで座りなよ」


「露李先輩、ここに座ってください」


文月と静の呼び声。


皆の気遣いが心にじんわり染みる。

グニャリと視界が歪んだ。


「露李ー?」


「何でもありません!」


嬉しくても涙出るんだ。


初めて知った感情と共に、“あの事”をもっと言いたくない、温もりを手放したくないとより思うのだった。