「そう…ありがとう」


声しか聞こえないけど、電話の向こうで俊は困ったように笑っている気がした。


相手のことを考えて自分の気持ちを犠牲にする時の笑顔。


「もう…切るね」


「うん…おやすみ」


「おやすみ」


ブチ…。


正直、信じたくなかった。


私の好きな翔があんな風になるなんて。


でも、少しでもポジティブに考えるなら…それだけ翔にとって私の存在は大きかったってこと。


それだけ愛されていたってこと。


(私も戻りたいよ…翔)


私はそのまま眠りについた。