気づくと私は走り出していた。


今までで一番っていうくらい早く走った。


後から考えるとなんであんなスピード出たんだろう?って思う。


そして…バコ…


間に合わなかった。後1mというところで翔が殴られた。


「そんな…翔!翔!大丈夫⁉︎」


慌てて翔に駆け寄る。


「…ああ、大丈夫だ。やっぱつぇーな。ごめんなかっこ悪いところ見せて」


辛そうだけど、話すことができているから如月も少しは手加減してくれたみたい。


「ううん!そんなのどうでもいい!」


苦しそうな翔を見ると私まで涙がでてくる。


「泣くなよ」


そっと私の涙を拭ってくれた。


「悪い。これ以上は無理かもしれねえ」


困ったように笑った。


(泣いてなんかいられない。翔に心配かけられない!)


「大丈夫。こいつは私が倒すから」


私は翔から手を離して如月の元へ歩いた。


私と如月の一騎打ちが始まる。