「ちょ!顔上げてよ!……ごめん。双桜に会わせることはできない」


天桜の総長として、簡単に会わせるわけにはいかない。


みんながどうして会いたいのか知らないけど、もし危害を加えるつもりなら絶対会わせられない。


「無理を承知で言ってるんだ。頼む!」


1度断ったくらいじゃ諦めてくれないみんな。


「…なんでそんなに会いたいの?」


「俺たちはずっと天桜に憧れてるんだよ。特に翔はね」


「だからお願い。僕達に会わせて!」


「……頼む」


みんな口々に私に頼んだ。


いつもの私だったら疑うけど、なんとなく信じられる気がした。


情だけじゃなくて、目が真っ直ぐだった。


そんなに天桜に憧れてくれてるなんて…なんか嬉しい。


だけど私は…


「少し…考えさせて」


会わせてあげたいけど…そう簡単にはいかない。


私の独断じゃ決められない。


こう答えるのが最善だった。


「わかった」