「なんだよ俊」


4人が一斉に俊の指差す方向を向く。


そしてその場の全員が目を見開き、言葉を失った。


「嘘だろ…学園のあの門をいとも簡単に飛び越えるなんて…」


あの門は抜け出し禁止のために4メートル以上の高さを誇る門だ。


俺たちですらそう簡単に越えられるものじゃない。


それを、あんなヒョロっとした女が…


飛び越えた人物は俺たちに気づかずに走り去っていく。


「僕あの子知ってるよ!同じクラスのモデルやってる子だよ!」


全員が呆然とする中で、亮太が思い出したように言う。


モデル…?


いや、モデルがいることぐらい大したことじゃない。


この学園ならありえることだ。


だが…ただのモデルがあの門を飛び越えられるか?


「……俊。あいつのこと調べとけ」


「うん、……りょーかい」


俺は女が消えた方をじっと見つめていた。