幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)

「ご、ごめんっ」


とっさに謝ると、玲音が困ったように笑った。


「ガチで謝られるとけっこう傷つくんだけど。

むしろいつもみたいにパーンって殴ってもらったほうが爽快かも?」


「じゃ、殴ろうか?」


「わざわざ殴られるのもね?」



気まずい沈黙が続いて、無意識のうちに言葉がこぼれ落ちた。



「子どもの頃の方が良かったね…

難しいことなんてなにも考えずに、

楽しければ笑って、悲しければ泣いて、

思ったまま毎日を過ごすことができた」



玲音が可愛くてしょうがなくて、一緒にいるのがすごく楽しかった。


こんな気持ちになることだってなかった。


夜空を見上げると、厚い雲に隠されて今夜は星がひとつも見あたらない。


すると少し大人びた表情で玲音が微笑んだ。


「俺は今でも思ったまま毎日を過ごしてるよ?

"りりちゃんのこと大好きだよー"って目一杯アピールしてるつもりなんだけど
伝わらない?」


「じゃ、どうして…」


「なに?」


"どうして、他の女の子にもあんなことするの?"


そう聞きかけて言葉をのんだ。



「……なんでもない」



よくわからない。



玲音がなにを考えているのか、どうしてこんな気持ちになるのか、

自分でもよく分からない。