幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)

「そういえばさ、小さい頃はよく姉弟に間違えられたよね。

私、弟が欲しかったから嬉しかったな」



バス停への道を玲音と肩を並べてゆっくりと歩く。



「俺は腹立たしかったよ。

だから、絶対りりちゃんより背が高くなってやると思って

めちゃくちゃ牛乳飲んで頑張ったんだよ。

だから、ほら、この通り♪」



ムムっ。


得意げに私の頭をポンポンと叩いている玲音の手をさっとふり払う。



「でも、牛乳飲みすぎてよくお腹こわしてたよね?」



「いいじゃん、背高くなったんだからさ」



「昔は私の方が大きかったのにな……」




口を尖らせて目の前の小石を勢いよく蹴飛ばすと、小石がコロコロと転がる。



「小さいりりちゃんも可愛いよ?」



ムムムっ。


含み笑いをしながら私の頭をなでる玲音に握った拳をつきだすと、

笑顔でかわされた。




「あーもうっ、ムカツクっ!」



「ホント、りりちゃんって負けず嫌いだよね?

よしよし、もうすぐバスくるから大人しく待とうね?」



もうっ!!



ぷうっと頬をふくらませて玲音を睨みつける。



すると、朝陽に照らされて優しく笑った玲音を見て、


どきりと心臓が波打った。





んん?


なんだろ、これ?



「りりちゃん、どうしたの?」



「な、なんでもないっ」



玲音から目をそらして遅れて到着したバスにバタバタと乗り込んだ。