仕事が終わり足早に帰る

今日は金曜日・・・・

「ただいま~」と言うとお母さんが「お帰り」と返事をしてくれる。

靴を脱いでいると

また来てる

無駄にでかい靴があった。

靴をそろえ家に上がると、お母さんが楽しそうに天ぷらを揚げていた

「美奈、着替えたら渉の部屋に行ってごらん豪君来てるから」

と鼻歌を歌いながらご機嫌な母

母は、私が豪君の事を慕ってると勘違いしているようだ。

山下豪25歳お兄ちゃんの友達・・・・で、私の苦手な相手

何で苦手かっていうと顔は整ってるとは思うけど目つきが鋭くて、無言だし、笑わない、

無駄にでかい(2メートルあるし)私と46センチ違うもん

昔、空手で全国大会で優勝した実力者、とにかく威圧感が半端ない。

横に立っているだけでも空気が薄くなっていくような感じだ。

でもそんな彼も1度だけ私に笑ってくれたことがあってその笑顔が忘れられなかった。

私が中学生の頃学校から帰りお兄ちゃんの部屋のドアを開けようとしていると二人の話声が聞こえてきた。

何の話してるのか気になって耳をドアに近付け…盗み聞き

「俺は・・・・・・・・・美奈が苦手だ」って聞こえてきたときはショックだった。

あの言葉を聞いて、自分の気持ちがよくわかった。

「私は豪君の事が本当に好きだったんだって・・」

初恋は実らないって聞くけど本当なんだなあ

失恋後私は豪君に会わないようにした。

家で靴を見れば友達の家に遊びに行き、見かけても目を合わさず気づかないふり

そのあと、豪君はあまりうちに来なくなった。

噂では、たくさんの女の人と遊んでると聞いた。

それを聞いたとき余計胸が苦しくて悲しかった。

あの失恋から早、9年・・・・

私が勤め始めてから毎週金曜日に豪君が泊りに来るようになった。

しかも私より早い帰宅

一応社長さんをしてるらしいけど金曜日の夜に彼女持ちの友達の家に来るぐらいだから

よっぽど暇なんだろう会社大丈夫なのかな?

彼女持ちの友達とは私のお兄ちゃん・・・中川渉(25歳)豪君と同じ会社に勤めている。

で、後藤柚菜ちゃんという可愛い彼女がいるんだけど接客業してるから土日のお休みがない。

OLさん向けのアパレルショップで店長をしている。

高校を出てすぐに今のお店に入って、売り上げを伸ばしその実力をかわれ店長になった。

私より1個上でいろいろ頼りになるお姉さんだ!!

たまにお店で私に似合いそうな洋服や小物を持ってきてくれる。

柚菜ちゃんとお兄ちゃんは豪君の紹介・・・いやたまたまか?知り合ったと聞いている。

付き合って2年、うちの両親もすごく気に入ってて今年中には結婚して近くのマンションに住む予定だ。

こんな素敵なお姉さんができるので本当にうれしい

お兄ちゃんが結婚すれば豪君はここには来なくなるだろう・・・

顔を見るとまだ好きだって気持ちがあるのかな?

ズキズキしてしまう。だからできるだけ会いたくない・・・・