「何しに・・・来たの?」


ほんの少し声が震えて


いるのがわかった


すると 綾斗は私に近付いて来た


思わず後退りしてしまう


「なんだよ? 冷たいじゃん・・・


前は俺にベッタリだったのに


そこが可愛かったんだけどな」


トン


背中に壁が当たった


綾斗は 私の両手首を掴む


「離して!」


「なんでだよ? 俺等付き合ってんだろ?」


綾斗は 笑いながらそう言った


でも・・・目が笑ってない


怖い・・・助けて


涙が頬を伝う


助けて・・・陽也君


「何やってんだ!?」


見ると 陽也君が息を切らして


立っていた


「・・・くそ 今日の所は帰る


でも これだけは覚えとけよ?


お前は俺から逃げられない」


耳元で声を低くして


綾斗はそう言って 私から離れた


「那未!? 大丈夫か!?」


陽也君は 私に駆け寄った


身体が・・・綾斗に掴まれた


手首が震えていた