チラッと那未の方を見ると


少し俯いていて


落ち込んでいるように見えた


「那・・・」


「あれって 那未ちゃんじゃね!?」


「うわー やっぱマジ可愛いー」


声をかけようとしたら


そんな声が聞こえて来た


もしかして・・・落ち込んでるんじゃなくて


目立たないようにしてるのか?


「・・・少し走るぞ」


「え?」


グイ


俺は那未の手を引いて


そのまま走り出した


どこに向かっているのか


わからなかった


「ちょっ・・・陽也君!」


その声で 足を止めると


那未は息を切らして


膝(ひざ)に手を置いていた


「大丈夫か? いきなりごめんな?」


「ううん・・・ 平気」


そう言いながら 那未は


顔を上げて少し笑っていた