ぎゅ


私は 無意識の内に


陽也君の袖を掴んでいた


「どした?」


「・・・」


ドキン ドキン・・・


私 何を言うつもりなの?


「・・・那未? 気分でも


悪いのか?」


「もう少しだけ・・・


一緒に居て・・・くれる?」


俯きながら そう言っていた


袖を掴んでいた手が


少しだけ震えていた


「・・・当たり前だろ?


そばに居るから・・・安心して」


ぎゅ


陽也君に 優しく抱き締められた


「・・・うん」


逆に 困らせているのは


私の方かもしれない


『お前は俺から逃げられない』


ドクン


「・・・嫌!」


ドン


私は 陽也君を突き飛ばしてしまった