「…あの、霧島くん?ひとつ訊いてもいい?」


「ん。どうぞ?」


「さっきの人達ってもしかして霧島くんの知り合い…なの?」


「え?」


その瞬間、微かに彼の背中がぴくりと反応した。



も、もしかしてこれは、


訊いてはいけない事…だったのかな?!



「あああの、あのね!?その、なんだか面識があるように感じられたので…!」


「あぁ、そういうことか。まあ別に知り合いってわけじゃないけど、…何年か前に俺が北高相手に抗争した時に、その北高の下っ端にいた奴らだったんだ。まあ、当時は喧嘩なんて日常茶飯事だったから奴らのことはうっすらとしか覚えてないけど。」


「そ、そうなんだ。」



喧嘩相手が霧島くんを思い出すまで少し時間がかかっていたのに、霧島くんは相手の母校も憶えていたなんて……!



薄々感じてはいたけれど、霧島くんってかなり記憶力が良いんじゃ?!



……って、あれ?



ちょっと待って!



今“何年か前”って言ったけど、その当時の霧島くんって中学生だよね?


ということは、中学生が高校生を相手に喧嘩してたってこと!??



それにさっきの人達のあの怯えよう…。


相手が霧島くんだと解ったら、弾丸のような速さで逃げて行っちゃったし……。



そこで私はふと気づく。



今まで大して気にもとめていなかったけれど、



霧島くんって、もの凄く喧嘩が強いんじゃないのかな!?



うちの高校内ではリーダー的な存在だから、きっと腕っぷしも強いだろうとはある程度察してはいたけれど…。