「じゃあ、早く出よう?」


「咲希を食う。」


「うん、そうだね。まずは………、」



って!!!




え?!!



なんでそんな話になってるのよぉーーーー!!!!


「さっきのキスの顔、スゲー可愛かった。もう一回見てぇ…。」


と彼の唇が着実に私のソレに近づいていた!!!



ぎゃあああ!!!!



公共の場でなんてことを~~~!!!




「き、き、きりし…、」


「問答無用。咲希が悪い。」




なぜーーー?!!!




と、諦めかけた時だった。





ぐうぅ~~~~~。



………………。




………。




え??



「咲希……、そんな腹減ってたのか…。」


「―――ッッ!!?」



そう。


この音は私のお腹の音だった…。



な、なんてタイミングに鳴るんだろうか?!!恥ずかしすぎるよ!!!



かあぁっと顔がますます熱くなってしまい、頭から湯気が出そうだ!!



するとそれまで私をきつく抱いていた霧島くんの腕が緩んで、私を解放してくれた。


「じゃあ飯にすっか!咲希の盛大なお腹の音に邪魔されちまったしな!ククク…。」




!!!!



必死に笑いを堪えてるっっ!!




絶対に馬鹿にしてるんだッ!!!



「~~~っもう!しょうがないじゃない!今朝からあんまり食事してないんだから…。」



今日は霧島くんとデートなんだと思ったら緊張しちゃって、食べ物が喉を通らなかったんだから。


「悪い、悪い!じゃあ行こうぜ。手、貸すからさ。ほい。」


と霧島くんが先に上がって、私に手を貸してくれる。




ドキッ!



な、なによ…!


そんな無邪気な笑顔を見せてもダメなんだから!



そう心の中で霧島くんに文句を言いながら、その大きくて温かい手に私はそっと触れたのだった…。










一方、理人は前を歩く咲希を見て、先ほどの自分の行いを反省していた。




そして、一言。


「はぁ~~~……。俺、最後までもつかわかんねぇ……。」




その声は咲希にはもちろん届かずに、夏の暑い空気に消えていったのだった。