「こらーー!!待ちなさい、ピンクメッシュ!!それとプールサイドは走らないのがルールよっ!!」



ん……?



この声ってちーちゃん?!



するとまた違った声が。



「もう~~千枝っちってば、しつこいんだからさぁ~~!!もう勘弁してよ!それに走ってんのは千枝っちのほうジャン!俺、早歩きだしぃ~~。」



あれ?!


この声は准平くんの…??



「アンタねぇ!さっきから屁理屈をこねまくるんじゃないのっ!!!観念してナンパすんのはもうやめときな!誰もアンタなんか相手にしてないんだから!!」


「ちょっと、ちょっと!せっかくプールに来てナンパしないなんて有り得ないッショ!せっかくの夏なんだしぃ~~♪」



すると私達の前を横切ったのか、軽やかに駆けていく足音が聞こえては遠ざかってゆく…。



「ピンクメッシュ!!おい、こら!!!結局走ってんじゃないのっ!!!待てぇーーーー……!」





…………………行っちゃった。



「あっぶねー…。准平に見つかったらまた邪魔されるからな。」


「た、確かに……。」



それは同意する他なかった。


ホッとひとつ息を吐くと、霧島くんが私の顔を後ろから覗きこんでくる。




「じゃあ、さっきの続き。やる?」


「…へ? ――ッ!!!」




そうだった!!!




まだ私、霧島くんに拘束されたままだったんだ!!


一難去ってまた一難。



というか、別に私にとって霧島くんは“難”ではないんだけれど、



その…、この問題に関してはまた別問題といいますかっ!



この色香漂う霧島くんはある意味“罪”といいますかっっ!!



とにかくさっきのこともあるし、ここは回避したかったのだ!


「あの!!そろそろお昼だし、ご飯にしない?!!」


「…………。」


「ほら!何か食べないと熱中症になっちゃうし!」


「……わかった。」



ほっ。



やっと了解を頂けた。