「じゃあ要するに、咲希にぴっ~~~たり貼りついて滑ってもいいってことだよな?さすが咲希殿。寛大なお心、感謝する!」


「~~っもう!!そういう事じゃないのにー!!!馬鹿ぁぁぁ!!!!」


アハハハハッ



私の反応を見てお腹を抱えて笑ってる霧島くん!




前言撤回!!


やっぱり意地悪霧島くんだっ!!!


さっきまであんなに悩んでいたからこそ私は、余計に頬を膨らませてむくれてしまったのだった。








「ハイ、では次の方どうぞ~!」


「おっ!漸く俺たちの番だな、咲希?」


むぅ。



そんな顔してみせても、ダメなんだからね!?



余裕たっぷりの霧島くんにへそ曲がりが治らない私は、ちょっぴり霧島くんを恨んだ。



「体重が軽い方が前に乗るのがいいと思いますので、彼女さんが前でよろしいですか~?」



!!!



か、彼女っ!!!



私達、ちゃんとカップルに見られてるんだ!



どうしよう…!嬉しい!



監視員のお姉さんからそう言われて、つい照れてしまう私。



そんな私の気持ちに勘付いたのか、


「…だそうだけど、彼女さん?どうしますか、彼女さん?言うとおりにしときますか、彼女さん??」


と、霧島くんが“彼女”というワードを連呼してくるっ!!!



「――ッ!もう!!霧島くんの意地悪!!」


「ハイハイ。…じゃあ俺は後ろに座りますんで!」



「オッケーで~す!では、まず彼氏さんが先に座ってもらってもいいですか~?」



もう!!



霧島くんの俺様ッ!


私をからかって遊んでるとしか思えないよ!




………でも、なんでだろう?



それでも嬉しく感じてしまうのは。


やっぱり相手が好きな人だからかもしれない…。




「咲希。はやくおいで?」


と霧島くんが突っ立っている私に手を差し伸べてきた。


「っ!う、うん。」


その姿に一瞬ドキッとしたけれど、私は何事もなかったかのように霧島くんの手をとる。


だって私ばっかりドキドキしてるのは、やっぱり悔しいから。



でもそこで私ははたと気づいたことがあった。




ん?ちょっと待って!



このゴムボート、前後の人とかなり密着しない!!?