それさえも上手くできない自分に私は無性に腹が立ち、そして悲しくなった。


「“恥ずかしいから”って逃げるのは、やっぱり間違ってたよね…。」



霧島くん…、


様子が変だった私のことを気にかけて声をかけてくれたのに、私は自分のことで精一杯で…。



「キス……だって、結局逃げたかたちになっちゃったな。…人前でも、するべきだったのかな。」


あぁ~~~!!もう!


うじうじ考えても何も始まらないのにっ!



…そうだ。何も始まらない。


こうしてても時間は無情にも過ぎていく……。



ならば!


当たって砕けるべきだ!!



「…………よしっ!今からでも霧島くんをデートに誘ってみよう!!」



緊張するけど悩んでくよくよしてるより、その方がずっといい!



「断られたら、その時また考えよう!」


スッと立ち上がると私は鞄を開けてチケットを探し始める!



しかし。



「……え?…うそ!!アクアランドのチケットが無いっ!!!どうして?!!」


鞄を漁ってみても見つからない!!


「どうしよう…!?せっかくちーちゃんと唯ちゃんに譲ってもらったチケットなのに!!」


“王子と二人分!”ということで、二枚しかチケットを持っていない私。



「何やってるんだろ……わたし……。情けなさすぎるっっ!!」



引っこめたばかりの涙がまたジワリと溢れてきてしまう。




すると。




~♪



「ぐすっ。……メール?」



ぱかっと携帯を開いてメール画面を表示する。





【 件名:咲希へ


バイトお疲れ。


今日はいろいろごめんな。


でも咲希が屋上来てくれて嬉しかった。


理人 】



!!!


霧島くんからだ!!


どうしよう!すごく嬉しい…。



予想外の霧島くんからのメールで、それまで沈んでた気持ちが一気に明るくなる。




私って、我ながら単純な人間かもしれない…。


「あれ?まだ文章が続いてる…?」


メールにはまだ続きがあった。





【 あ。それと明後日の日曜。


11時に、○○駅の前に集合な。


水着とタオル必ず持ってくるように!


なおこのメールに関しての返信は一切受け付けないから。】




………………。


…………。



ん!?


“水着” !??



「って。ま、まさか……!」



そして最後の一言にはこう書かれてあった!






【 チケット、さんきゅ!】





「うそーーーーーーーーーーー!!!」




この一文で全てを悟った私だった…。