そう願いをこめて彼の綺麗な茶色い瞳をただじーっと見つめる…!


すると霧島くんはそんな私に対して一瞬だけ目を見張ると、


「ヤベェ。……………可愛いすぎ。」


「え?霧島く……ッ!!」


そう言って霧島くんは掴んだままの私の腕を自分の方へ引き寄せた!!


そしてそのまま、ぎゅっと彼の腕の中に私は閉じ込められてしまう!




な、なぜ……いま……


私は霧島くんに、


抱きしめられているのでしょうか……!??



突然の霧島くんの行動に私は頭が真っ白になるのと同時に、彼の堅い胸板が頬に当たって全神経がその一箇所に集中してしまう!!



こ、この状況……


いったいどうしたらいいんだろう!!?



さっきまではチケットのことで冷や汗をかいていたのに、今は彼の急な抱擁にドギマギしている私…。




「咲希、めっちゃ好き。」


「ひゃっ!!!」


今度は甘い告白と共に降ってくる彼の熱い吐息が、私の肌をひどく焦がしていく……!



どどどどうしよう!!!


霧島くんが久しぶりに暴走し始めちゃったよ!!



吐息が直(じか)に触れる……。


そんな距離は、初めて私が霧島くんと屋上にやって来た “あの日” 以来なわけで……。




そう。 “あの日” は私にとって大切で特別な日でもあった。





『理人って呼んで。今すぐ!……じゃないと離さないから。』


『〜〜っなんか嫌なんだよ!あいつらに負けたみたいで!!』


霧島くんが初めてヤキモチを焼いてくれた日。




『やっぱり……霧島くんなの……?私の靴、探して見つけてくれたのは霧島くんだったの?』


『い、いや、俺は記憶にない!』


初めて、彼の心の内側にある本物の優しさに触れた日。




そして。




『ーーーッ理人!!!大好きだよ!!!』


私が霧島くんに、大衆の面前で “公開告白” をしてしまった日!!





「ーーっ!」


そんな数週間前の事を思い出してしまい、私は余計に狼狽(うろた)えてしまう。