「咲希!」


「――っ!!!」



霧島くん!!



私の腕をひっぱったのは霧島くんだった!


そして彼の大きな手に触れられていると分かった瞬間、そこからピリピリとした感触が走る!



なんだろう!?


なんだか凄く、くすぐったいような…っ!



さっきの羞恥心で赤く染まった私の顔が、霧島くんに触れられたことでさらに赤くなったような気がした。


その証拠に私の顔は一気に燃えるように熱くなったのだ。



一方霧島くんも、シャツの襟元からのぞかせる素肌が少しだけピンク色に変化して、どことなく大人っぽさが増した気がした。



するとそんな彼から鋭い一言が私に飛んでくるっ!


「咲希、なんで帰ろうとしてんの?」


「へ…!?」


「いま俺に気付いて、慌てて帰ろうとしてただろ?」



ハッ!!



そうだった!!!


霧島くんに見惚れてる場合じゃないよ!


私の馬鹿!


「そ、そんなことないよ?!私はただ、この後バイトがあるから…、」


「嘘。目、泳いでる。」


「っ!!そ、そんなことは、」


「…まさか、俺が咲希に嫌な思いをさせちまったとか!?」


「なっ!!そ、そんなこと絶対あるわけない!!断じてありません!!!なので、その、心配ご無用といいますか……!」


「……でも、やっぱしスゲェ気になるんだけど?」



!!!



ききき霧島くんのお顔が、



私の目と鼻の先にいらっしゃるーーーーー!!!!



今にも気が動転してしまいそうな彼との距離だけど、必死に彼と顔を見合わせる私!



だって、ここで目を逸らしてしまったらなんだか負けた気がするし…。


それに!


このチケットのことは絶対霧島くんにはバレたくない!!!


冷や汗を流しながら私はチケットをぎゅっと握る。


「と、特に何もないよ!?」


「…………。」


「っ。本当だよ!!何もないから…!ここに来たのもただ、ちょっと屋上で涼みたかっただけで…!」


「…………。」



お願い!!!どうか気づかないで…!!