「もう!そんなに笑わないでってばーー!」


「ハハッ!悪い、悪い!……それでは咲希殿。手を出して頂けませんか?」


と霧島くんが左手を出してやわらかい眼差しで私に微笑んでみせた。



「っ!!」



だ、だから、その笑顔は正直ずるいって……!!



「ほら。咲希の好きなようにしていいよ。俺の左手。」


と、目の前に差し出された霧島くんの大きな手。



やっぱり……、霧島くんには勝てる気がしないな。



私ばっかりだもん。



きっとこんなにドキドキしているのは……。



差し出された彼の手を私はそっととる。



家までの短い道のりを私達は、指を絡ませて帰った…。



真夏の夜なのに、頬を撫でた風は少しだけ涼しくて、


彼の手はほんのりと温かかった……。






それから帰宅した後、自室にてーー



『ま、まさか、“それだけ”……じゃないわよね?!咲希?!』


「え!?う、うん? “それだけ” だけど、どこか変かな??」


私はちーちゃんと電話をしていた。



話の内容は、最近の私と霧島くんの関係についてで、ちーちゃんに相談にのってもらっていたのだ!


「そ、それでね、ちーちゃんは彼氏さんと、その、どうやって日々過ごしているのかな!?っと思って!」


そう。


相談というのは、好きな人とどうやって過ごしたらいいのかということ…。


馬鹿馬鹿しい相談内容だと思われるかもしれないけど、


恋愛初心者の私にとってはかなりの難問だった。



だからここは同級生の彼氏さんがいるちーちゃんの意見を訊きたくなったのだ!



そのことをちーちゃんに言ったら逆に最近の霧島くんとのことを訊かれたので、


素直にありのままのことを報告したのだけれど……。


『……………。』



だ、黙っちゃってる!!