そして、今に至る。
どうせ他の男と変わらない。
付き合う口実を作っただけだ。
歩きながらそんなことを考える。
あれ…?
でも橘拓人は…。他の男と違い過ぎていた。
一緒に帰ろうと誘われたのは同じ。
だけど今現在、隣で歩いているだけで手を繋いだり腰に手を回したりもしてこない。
それって男としてどうなのって思うくらい…。
他愛もない話をしているけど、その話が案外面白く一緒に笑っている。
なんか…楽でいいかも。
いい意味で裏切られた。
「じゃあな。」
送ってくれることはなく、駅の前でお別れした。
なんて………
なんて…………
楽なんだっ!!!!
楽な恋愛なんてないって思ってた。
ただ、かっこいい人と付き合って。暇つぶしをするだけ。
キスとか、そういうの興味ないし。
したいとも思わない。
こういうのなんかいいかも…!
あっもう…家に帰るんだ…。
帰ったら勉強か……。嫌だ。
そんなことを考えながら家に帰った。
そしたら案の定、お母さんが出てきて言った。
「美耶!!テストどうだったの?」
そう、今日はまさかのテスト当日だったのだ。
できは良くても悪くても毎回同じことを言っている。
「今回やばいかも…。わからないや。」
出来たって言うと、お母さんはなぜか私には不似合いの10番くらいを想像し、逆に悪かったって言うと、ビリくらいを想像してしまう。
変に期待されても困るし…。
私は階段を上り、部屋に入った。
「ふぅ。」
なんか家って居心地悪いんだよな…。
1人妹がいるけど、まだ中学生3年生。
受験生なのだ。
私が行ってる高校は私立で、公立はおちてしまった。
公立の倍以上お金がかかるから、いい大学行きなさいって言われたけど……。
正直、大学なんかこれっぽっちも考えてなかったからなぁ…。
2年後のことだけどさ。