「創る……? 随分馬鹿馬鹿しいことを言うんですね。貴方も私と同じ人種だと思いましたが」
ジストは笑いを含ませる。
こういう男の方が扱い易い。
エナなどより、よっぽど。
「なんだ、本当に気付いてないのか」
目の前の男と自分。
確かに似た性質を持っていると言えなくもない。
否、同じ性質を持っていた、というべきか。
だからこそ、わかるのだ。
この男が真実求めているものが。
壊しても壊しても壊れずに存在し続ける存在を。
どんな自分でも無条件に受け入れてくれる存在を。
無意識下で求めている。
だが、それが不可能だということも同時に知っているのだ。
育むのではなく、壊すことを選んだ時点で。
「真っ正面からぶつかるのが怖くて、奪おうとしたんだろう?」
リゼは目を瞠った。
それを見て、小気味良く鼻を鳴らす。
「それこそが、あれとお前の間にある決定的な差」
端から敗北を認めていたくせに、男はそれを受け入れなかった。
だからこんなにも見苦しくこの目には映る。
同時に愛しいくらいの侮蔑を伴って。
「そして、俺とお前の差だ」
ジストは立ち上がり見下ろした。
その目線の違いがそのまま立場の差だと見せ付けるように。
一見無防備に見えるその姿にも男は反撃する様相は見せなかった。
「あいつは、壊すより見てた方が面白いんだよ」
壊すなど勿体ない。
あの少女はこれからもっと美しく花開いていくはずだ。
誰にも囚われず、誰にも支配を許さず。
けれども周囲の荷物の全てを背負い込み潰れそうになりながら。
きっとより強くしなやかに変化していく。
全てを巻き込み、全てを魅了し、その全ての責任を無視出来得ぬ不器用な少女だからこそ、不安定な心が一際輝く。
奇跡のような存在だ。
そんな存在、この機を逃したら二度と出会えやしない。
だから、創ることを選んだ。
だから、見守ることを選んだ。
愛情をかけすぎて育てても根腐りを起こす厄介者だから。
かといって目を離せば彼女は自ら危険に飛び込んでいく――命すら賭して。
せいぜい死なないように見守るのが精一杯だ。
なんと手のかかる娘なのか。
だが、そこらへんに群生しているような小さな花が見たいのではない。
自分が関わった以上、他の誰も見たことがないような大輪の花を咲かせてもらわねば。
ジストは笑いを含ませる。
こういう男の方が扱い易い。
エナなどより、よっぽど。
「なんだ、本当に気付いてないのか」
目の前の男と自分。
確かに似た性質を持っていると言えなくもない。
否、同じ性質を持っていた、というべきか。
だからこそ、わかるのだ。
この男が真実求めているものが。
壊しても壊しても壊れずに存在し続ける存在を。
どんな自分でも無条件に受け入れてくれる存在を。
無意識下で求めている。
だが、それが不可能だということも同時に知っているのだ。
育むのではなく、壊すことを選んだ時点で。
「真っ正面からぶつかるのが怖くて、奪おうとしたんだろう?」
リゼは目を瞠った。
それを見て、小気味良く鼻を鳴らす。
「それこそが、あれとお前の間にある決定的な差」
端から敗北を認めていたくせに、男はそれを受け入れなかった。
だからこんなにも見苦しくこの目には映る。
同時に愛しいくらいの侮蔑を伴って。
「そして、俺とお前の差だ」
ジストは立ち上がり見下ろした。
その目線の違いがそのまま立場の差だと見せ付けるように。
一見無防備に見えるその姿にも男は反撃する様相は見せなかった。
「あいつは、壊すより見てた方が面白いんだよ」
壊すなど勿体ない。
あの少女はこれからもっと美しく花開いていくはずだ。
誰にも囚われず、誰にも支配を許さず。
けれども周囲の荷物の全てを背負い込み潰れそうになりながら。
きっとより強くしなやかに変化していく。
全てを巻き込み、全てを魅了し、その全ての責任を無視出来得ぬ不器用な少女だからこそ、不安定な心が一際輝く。
奇跡のような存在だ。
そんな存在、この機を逃したら二度と出会えやしない。
だから、創ることを選んだ。
だから、見守ることを選んだ。
愛情をかけすぎて育てても根腐りを起こす厄介者だから。
かといって目を離せば彼女は自ら危険に飛び込んでいく――命すら賭して。
せいぜい死なないように見守るのが精一杯だ。
なんと手のかかる娘なのか。
だが、そこらへんに群生しているような小さな花が見たいのではない。
自分が関わった以上、他の誰も見たことがないような大輪の花を咲かせてもらわねば。